結論:上場している国内SaaS企業の平均年間給与は、約650万〜1,000万円に収まる。国税庁の統計で情報通信業全体は681.9万円。外資系SaaSは職種次第で1,000万円を超える求人が並ぶ。ただし平均値は社員の年齢構成に左右されるため、順位だけで志望先を決めるのは危うい。職種別の年収帯は、求人票と非公開求人の提示額で確かめるのが近道だ。
「SaaS企業は年収が高い」と言われる。実際に数字を並べると、会社によって300万円近い差がある。本記事は、公開されている一次情報と、それを転載した媒体の値をもとに、国内上場企業と外資系の年収を整理した。順位表というより、自分の年収を判断するための物差しとして使ってほしい。
SaaS企業の年収はどの程度か|情報通信業の平均は681.9万円
物差しの基準になるのは、国税庁の民間給与実態統計調査だ。情報通信業の平均給与は681.9万円(2026年10月時点・国税庁の公表資料)。SaaSだけを切り出した公的統計はないため、近い業種の平均で代用する形になる。
もう一つの目安がマイナビの調査だ。IT・通信・インターネット業の正社員の初年度年収は平均568.7万円(2025年7月度・マイナビキャリアリサーチラボ)。こちらは転職者の入社1年目の数字である。入社後の昇給や賞与は含まれていないので、国税庁の平均と単純には比べられない。
2つの数字から言えるのは、SaaS企業の年収は「業界平均並みの会社」と「平均を大きく上回る会社」に分かれる、という構図だ。次章で、上場企業の具体的な数字を見る。
年収が高いSaaS企業はどこか|上場8社の平均年間給与を並べる
有価証券報告書に載る平均年間給与は、公開情報の中で最も信頼できる年収の手がかりだ。下の表は、国内の上場SaaS・クラウド系8社の値を高い順に並べたもの。数値は各社の開示を転載した媒体から取得しており、期末日と平均年齢が異なる点に注意が必要になる(2026年10月時点)。
| 企業 | 平均年間給与 | 平均年齢・期 |
|---|---|---|
| プレイド | 約940〜1,040万円 | 開示により幅あり |
| AI Inside | 987.2万円 | 30.7歳・2025年3月期 |
| オービックビジネスコンサルタント | 832万円 | 34.7歳・2026年3月期 |
| HENNGE | 789.7万円 | 有価証券報告書の値 |
| Sansan | 780万円 | 31.7歳・2025年5月期 |
| マネーフォワード | 711万円 | 34.0歳・2024年11月期 |
| freee | 678万円 | 32.7歳 |
| ウォンテッドリー | 648.3万円 | 2022年8月末 |
最新の値は、各社のIR資料やEDINETで確認できる。Sansanは2025年5月期の決算資料に780万円と平均年齢31.7歳、平均勤続年数3.1年が載っている。
表の読み方には癖がある。平均年間給与は、基本給のほかに賞与や残業代、場合によってはストックオプションの行使益まで含む。しかも対象は在籍する正社員の平均で、新規に採用される人の提示額ではない。上位の会社が「入社すればこの額になる」わけではないことは押さえたい。
国内SaaSと外資系SaaSの年収差は|レンジで見ると1,000万円台が並ぶ
外資系の日本法人は、有価証券報告書が存在しない会社が多い。平均値ではなく、求人票や年収公開媒体に出るレンジで比べることになる。
- ServiceNow:平均1,625万円、レンジは1,000〜2,700万円(年収公開媒体の集計。2026年10月時点)
- Workday:職種により1,000〜2,500万円(求人票では上級マネージャーが1,600〜2,500万円、導入コンサルタントが1,000〜1,500万円)
国内上場企業の平均が650〜1,000万円なのに対し、外資系は下限が1,000万円前後から始まる。差は確かに大きい。
ここで注意したいのが、2つの数字の性質の違いだ。国内の値は全社員の平均で、外資系の値は管理職や専門職の求人レンジが中心になる。比較の土俵が違うため、「外資は国内の1.5倍」のような単純な換算はできない。外資系は固定給の比率が低く、成果連動の変動報酬が大きい会社もある。達成できなかった年の年収は、レンジの下側に寄る。
年収が高い人気職種は何か|営業職で1,000万円は成立するのか
SaaS企業で年収が上がりやすい職種は、一般に営業職(エンタープライズ営業)、導入を担うコンサルタント、プロダクトマネージャー、エンジニアリングマネージャーなどだ。公開された求人レンジを見る限り、外資系では営業や導入支援の上位職で1,000万円台が現実的な水準になる。
営業職は、基本給と変動報酬の組み合わせで年収が決まる。注目したいのは「OTE(目標達成時の想定年収)」の表記だ。求人票にOTEとだけ書かれていれば、達成を前提にした数字であって、固定で支払われる額ではない。基本給と変動報酬の内訳、直近の達成者の割合は、面接で質問してよい項目である。
国内企業でも、インサイドセールスやカスタマーサクセスから営業へ移ると年収が伸びるケースはある。職種別の年収の公式な分布は公開されておらず、本記事でも一覧表は出せない。ここは求人票の数字を集めて自分で並べるしかない部分だ。
SaaS転職に向く職種とスキルは何か
未経験から入りやすい入口は、インサイドセールス、カスタマーサクセス、セールスサポートといった職種。いずれも顧客との対話が中心で、前職での接客や法人営業の経験を活かしやすい。関連する記事として、カスタマーサクセスの職務経歴書の書き方とインサイドセールスの転職理由の整理を用意した。
高年収帯を狙うなら、次のような経験が評価されやすい。
- 法人向けの無形商材を売った経験と、その数字(目標達成率・受注額)
- SaaSの導入や定着を担当し、解約率や利用率の改善に関わった経験
- 英語での顧客対応や社内調整(外資系の場合)
- SQLやBIツールでデータを扱い、提案に使った経験
エンジニア職の入口を探している人は、エンジニア転職エージェントの選び方も合わせて読んでほしい。社内SEという道なら社内SE転職ガイドで年収の目安をまとめている。
年収以外に確認すべきポイントは何か|ストックオプション・昇給・福利厚生
年収の額面だけで会社を選ぶと、入社後にずれが出る。確認しておきたい項目は3つある。
報酬の構成。基本給、賞与、変動報酬、ストックオプションの配分を、求人票の記載と面接で突き合わせる。ストックオプションは行使条件と時期で価値が変わる。上場前の会社では、現金としては受け取れない可能性もある。
昇給と昇進の仕組み。等級制度や評価の頻度が公開されている会社は多くない。面接では「直近2年で等級が上がった人の割合」や「評価の面談頻度」を聞く。答えに具体性があるかどうかが、判断材料になる。
福利厚生と学習支援。在宅勤務の手当、書籍・資格の補助、研修予算などは、会社の採用ページに記載されている。金額を年収に換算して比べると、見落としが減る。国の制度を使った学び直しを考える人は、リスキリング補助金の対象者と申請方法も参照してほしい。
なお、企業の内部事情や社員の声は、公式に公開された採用ページ・インタビューの範囲でのみ参照するのが筋だ。出所の不明なうわさは判断を誤らせる。
新卒と中途の年収差はどう見るか
新卒の初任給は、各社の採用ページに公開されている。中途採用の提示額は、前職の年収と職務経験、面接での評価で決まる。公開統計で両者を同じ軸に並べた資料は見当たらなかったため、数字での比較はしない。
目安になるのは先ほどのマイナビの調査だ。IT・通信・インターネット業の正社員の初年度年収は568.7万円で、国税庁の情報通信業の平均(681.9万円)より低い。初年度は賞与や手当が満額で出ないことが多い、という事情が背景にあるだろう。入社時の提示額と、2年目以降の想定年収は分けて確認したい。
年収の上昇カーブはどう描けるか|平均年齢から読む
上場企業の表を、平均年齢の軸で見直す。オービックビジネスコンサルタントは34.7歳で832万円、マネーフォワードは34.0歳で711万円、freeeは32.7歳で678万円、Sansanは31.7歳で780万円だった。
年齢が高い会社ほど給与が高いとは限らない。Sansanは平均年齢がfreeeより1歳若いのに、平均給与は100万円超高い。会社の報酬設計と、職種の構成が効いているのだろう。逆に、平均勤続年数が3.1年と短い会社は、若く入れ替わりの多い組織である。平均が高く出ていても、長く勤めた先の年収を示すわけではない。
上昇カーブを知りたいなら、同じ会社の複数年の有価証券報告書を並べ、平均年齢と平均給与の推移を見る。1〜2年のデータでは、人員構成の変化に引きずられる。
非公開求人の年収帯を確かめる|エージェントという選択肢
外資系や急成長企業のハイクラス求人は、年収が非公開のまま紹介されることが多い。エージェントを通すと、求人票に出ない年収帯や、内定時の提示額の実績を聞ける場合がある。SaaS・AI領域の転職支援なら、ミライフの公式サイトを見るから、サービスの内容を確認できる。運営会社や有料職業紹介の許可番号、利用料金は、編集部が公式サイトで確認できた範囲では特定できていない。登録前に問い合わせで確かめてほしい。
外資系やグローバル案件を中心に探すなら、別の選択肢としてエンワールド・ジャパンがある。エンワールド・ジャパンの公式サイトを見る 公開情報によると、同社はen-japan傘下で、本社は東京都中央区京橋3-1-1 東京スクエアガーデン12階、グローバル人材とアジア太平洋地域の転職を得意とする。許可番号と求職者の利用料金は公式サイトに記載なし。問い合わせで確認する。
どちらを使う場合も、年収交渉は求人票の額面ではなく「基本給・変動報酬・ストックオプション」の内訳で進める。
FAQ|SaaS企業の年収でよくある質問
Q1. SaaS企業の平均年収はいくらですか?
SaaS単独の公的統計はない。国税庁の統計で情報通信業の平均給与は681.9万円、上場SaaS8社の平均年間給与は648万〜約1,040万円の範囲に入る(2026年10月時点)。
Q2. 外資系SaaSなら年収1,000万円を超えられますか?
求人票ではServiceNowやWorkdayなどで1,000万円以上のレンジが公開されている。ただし職種と等級、変動報酬の達成度で変わるため、超えられると断定はできない。
Q3. 営業職でも未経験から高年収を狙えますか?
未経験の入口は、インサイドセールスやカスタマーサクセスが一般的だ。そこで数字を残し、営業へ移ることで年収が上がる道筋がある。初年度の年収は、業界平均で568.7万円という調査がある。
Q4. 平均年間給与が高い会社に入れば、自分の年収も高くなりますか?
平均は在籍者全体の値で、入社時の提示額とは別物になる。職種、経験、年齢で提示額は大きく動く。応募前に求人票と面談で確認するのが確実だ。
Q5. 非公開求人の年収帯はどう確認しますか?
転職エージェントに登録し、希望職種と現在の年収を伝えた上で、紹介される求人の年収帯と過去の提示実績を聞く。利用料金や許可番号は、公式サイトと面談で確認してほしい。
編集部結論|年収を上げたい会社員は「職種×提示額」で選ぶ
ランキングで上位の会社が、自分に合うとは限らない。平均年間給与は社員の構成に左右され、外資系のレンジは変動報酬を含むからだ。年収の判断は、国税庁の平均(681.9万円)を基準線に置き、志望職種の求人票を5〜10件集めて並べる。そのうえで、非公開求人の年収帯をエージェントに聞くと、市場での自分の位置が見える。
最初の一歩として、ミライフの公式サイトを見るで面談の流れを確認し、求人の年収帯を聞いてみるのがよい。

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